2025.05.26食べたらすぐ磨く?30分たってから磨く? 後編
前回は、ご飯を食べたらお口のPHが酸性に傾いて、歯のエナメル質が溶け出す現象(脱灰)のダメージをできるだけ少なくするために、すぐ歯磨きをする必要があるというお話でした。
ただ、数年前からテレビ・雑誌で、食後30分経過してから歯磨きをしたほうがいいという情報が出回ったと思います。今回はそこに触れていきます。
これらの情報のもとになったのは、ある報告でした。
その報告とは、むし歯ではなく酸蝕症(酸性の飲食物により、数本の歯が溶けてくる症状)の実験として、歯の象牙質のかけらを酸性の炭酸飲料水に90秒間浸した後、歯みがきの開始時間の違いによって、酸の浸透具合に差が出ることを調べた論文です。
その論文では、酸性の飲食物を摂取した場合、30分は歯磨きをやめたほうがいいという結論を出しています。
ただ、実際の口の中は、まず、歯の象牙質が露出していることはありません。
歯の表面はエナメル質に覆われています。かぶせが脱離していたり、むし歯を放置している場合は当てはまるでしょう。また、歯の表面は少なからず唾液が湿っており、酸性飲食物もそこそこ薄まるのです。
以上のことから、実験の状態がお口の中で再現されることは、稀だと考えられています。(日本小児歯科学会HPより)
この論文は、酸蝕症の患者さんを心配して、その患者さんに適切な歯磨きを提案するために、実験や考察をしたと思いますが、その結論の一部分が切り取られたことにより、食後30分は歯磨きをしないほうがいいという情報が出回ったようです。
ということで、「食べたらすぐ磨く」を今まで通り実践していきましょう!
私もすぐ磨きます、、、